熊本に残る八大龍王社

八代の日本中央構造線の調査で気になったのが妙見にまつわる八大龍王社で、
この八大龍王が熊本市独鈷山でも祀られていることを伝えた。

http://reyline.web.fc2.com/reyline/kouzousen.htm


八大龍王は仏教の守護神であり神道でいうところの龍ではない。
熊本では阿蘇大神が健磐龍命(たけいわたつのみこと)という龍の名を持ち
義父が草部吉見神社や立田阿蘇三ノ宮に祭られる彦八井耳命(日子八井命)で
やはり國龍神と呼ばれている。
それ故に竜神信仰や八大龍王の信仰が変質しやすい要素を持っている。
また熊本より北では綿津見神社系龍神社と八大龍王社が混同されている。

従って祭神が混同により入れ替わった神社が無いか
現在熊本周辺に残る八大龍王社について調査している。

これに関しては途中ではあるが随時という形で報告していきたい。


天竜八部衆・八大龍王について

梵名をナーガといい、
海中や水中に住む架空の動物で竜宮(王の都)は海底にあるという。
法華経では
難陀竜王 なんだりゅうおう
跋難陀竜王 ばつなんだりゅうおう 難陀竜王の弟
沙伽羅竜王 さからりゅうおう 請雨法の本尊
和修吉竜王 わしゅきつりゅうおう 水中に住む九頭竜
徳叉迦竜王 とくしゃかりゅうおう
阿那婆達多竜王 あなばだったりゅうおう
摩那斯竜王 まなしりゅうおう
優鉢羅竜王 うはつらりゅうおう
のことで、難陀、跋難陀龍王が代表格。
インドではナーガは雨を司る大蛇でしたが
中国、日本では龍と同一視されている。


「妙見の亀蛇(ガメ)は竜の六番目の子供でピーシーという。
重いものを担うのが得意で、頭をなでれば幸福になり、尻をなでれば病気をしないという」



八代 浅井神社の八王社

全国に広がっている八大龍王社の総本社の可能性がある神社である。
にもかかわらず今や八大龍王社であることが忘れ去れようとしている。
大楠のみが歴史を刻んでいる。
もともと八代の名前が八大龍王(八代龍王)から来ている可能性を考えると
この社の歴史は後世に残していくべきものであろう。


参照ホームページ
地域発ふるさとの自然と文化
http://www.pref.kumamoto.jp/arinomama/contents_dbpac/asp/bunkazai/s_frame.asp?id=314&group_id=6&pageCnt=2&order_kind=&disp_img=&syu=&syu2=
八王社の樟 八代市指定天然記念物
http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/ar/article_view.phtml?id=16639

    



八代 龍王神社

知る人ぞ知る有名社である。


白川八王社

熊本市を流れる白川の源流は白川水源でありここに白川吉見神社がある。
祭神は国龍大明神と罔象女命(みずはめのみこと)となっている。
ここから400m真東の色見川沿いに白川八王神社がある。
この社は地元民に手厚く守られているが祭神は消えて不明である。

しかしながら八大龍王を祭祀していたと思われる。
國龍神と別に水の神として八大龍王を祭祀した歴史がそこにある。
ここから南方12kmのところに幣立神宮があるが
ここは八代からの中央構造線の経路となっている。
幣立神宮では東御手洗に八大龍王を祭祀している。
肥後の初代藩主 細川忠利の時代に白川水源が枯渇したと云われている。
この時に加持祈祷したのが幣立宮司の春木宮之助である。
見事三日三晩の加持により水が戻ったそうであるが
この時にこの白川水源に八大龍王を祭祀したのではなかろうか?

筆者がこの神社を知るきっかけとなったのは
逆にこの話を知っていたので
白川水源に八大龍王社がないかと探している時に
幣立神宮の八大龍王を祭祀する地名と同じ御手洗を見つけ
それでその区域を散策していて白川八王神社を見つけ出したいきさつがある。



西原 八大龍王神社



西原 宮山八王社
この神社の参道は杉並木が手入れされていて非常にすがすがしい。
歩くごとに神氣が強くなっていくのを感じる。
社は二棟あるが向かって左の本殿の祭祀は誓約八神(宗像三女神と五男神)となっている。
右のイチイガシの横の社の祭神は不明だった。
本殿の奥側に、県のふるさとの樹木100選に選ばれたイチイガシがある。

この神社の神域はとにかく神柱のが立っていてすばらしい氣に満たされている。
この近くの神社が妙見社 綿津見神を祭る塩井神社 八大龍王社となっていることを考えても
もともとは八大龍王を祭る神社であったのだろうと思われる。

こういう氣の立つ神社が人知れず存在しそれを紹介できる事に喜びを感じる。


西原 袴野妙見社

湧き水が出ているところに社が建っている。
水と関係するところから八大龍王社が妙見社となった可能性もある。



西原 塩井神社

場所は大切畑ダムの南側に位置する。塩井神社の湧き水を汲みに来る人が多い。
拝殿の竹の板に綿津見神と書かれている。
やはりもともと水の湧くというだけあって八大龍王を祭っていたのが綿津見神に変更されたものと思える。


権藤神社

場所は熊本市川尻町の西側で飽田南小傍の県道229号沿いJAの道向こうになる。
権藤神社の権藤というのは地名より付けられたようであるが
元は龍王宮 龍王社と呼ばれていたということより八大龍王社と思われる。
由緒書きには綿津見の神を祭っていたのではないかという考察がある。

確かに熊本から玉名に掛けて海岸沿いに綿津見系の龍神宮及び海童宮はかなり多い。
また海神総本社の綿津見三神を祭る志賀海神社は「龍の都」とも呼ばれ龍神のことである。

豊玉姫は海神の娘で龍王と呼ばれたという伝承もあり
龍王社が綿津見の神を祭っている場合もあるらしい。

ただ妙見社系八大龍王社の分布と綿津見系龍神宮及び海童宮の分布の中で
この地で龍王神社という鳥居の扁額を見る限り八大龍王社で間違いない。

現在の主祭神に建磐龍命(建磐竜命)がなっているのはたぶん明治の神仏分離令で
阿蘇神社系の神社とするために祭神に追加した可能性が高い。
熊本の地域の小社は地域ごとにまとまって阿蘇神社や天満宮に名を換えているところが多い。
筆者は少しでも元の来歴を後世に残したいと願っている。



菊池龍門神龍八大王神社

菊池の龍門ダムのほぼ直下にある八大龍王神社で石段を下に降りる「下り宮」となっている。
ここの由緒石碑は昭和39年東京オリンピックの年の作成だが、社は昭和45年10月に造られている。
石碑記載のお尋ね所として菊池市高瀬の天鳳院光竜元氏 荒木姫里氏となっているが、
昭和45年当時に筆者はこの屋敷の隣に住んでいて微かに人物についての記憶がある。
この神龍八王神社の拝殿裏にある杉は夫婦杉となっていてかなり大きい。
またすぐ下に二つの淵があり男龍と女龍と呼ばれているが、龍神の氣を強く感じさせる淵である。
この社に参拝すると宝くじが当たるとの霊験がTVでも報道されている。
社の奥に愛染明王と十一面観音も祀られているが、この十一面観音にまず参拝されることを勧める。


未参拝神社
松枝神社
佐賀 大野島に八大龍王を祀る松枝神社がある。
http://5.pro.tok2.com/~niemon/saga/kawasoemati/matugae.html

このホームページに記載されている内容を転記する。
【松枝神社に伝わる八大龍王社記によると“鍋島勝茂が大野島(今の福岡県大川市大野島)の
寄洲に占有権を示す石標を建ててそこに土砂が堆積して三角州が出来たので
元和9年(1623)同所に八大龍王の神祠を建てた。】とある。



三苫綿津見神社

明治初年神仏分離の際に八大龍王社の社名を綿津見神社に変えたところもある。

場所は海の中道の付け根の海沿いであり海側の鳥居を出ると玄界灘が広がる風光明媚な地である。
福岡市東区6丁目三苫の綿津見神社の紹介文
http://www.jinja.sakura.ne.jp/higashiku/no45/no45.htm
(古い鳥居扁額及び常夜石灯に八大龍王の文字が見えるとのこと)

もともとは神功皇后征韓時に海神に祈られた由来で綿津見神を祭っていたという。
それが中古より八大龍王また龍王と称すようになり、明治に再び綿津見神社に復元せられたという。
また扁額の説明書きには綿津見神は八大竜王または竜王と云われていたとある。

この海ノ中道の先の志賀島には、「龍の都」と呼ばれる綿津見神を祭る志賀海神社がある。
全国の綿津見神社の総本社とも言われておりここの社は古来より安曇氏(阿曇氏)が奉斎している。
そして綿津見神は竜神と考えられているようである。
記紀によると山幸彦が失った針を探しに海へ潜り辿り着いた先が綿津見神が住む海神の宮で
日本書紀では「豊玉姫方産化為竜」とあり本性は竜でありそれが人の姿に化けている。
古事記ではその本性は八尋和邇(やひろわに)となっている。
ワニと竜とが同じとは思えないが、ワニを鮫サメとするよりも鰐ワニの方が姿が龍に近い。
意外と龍は鰐を神格化したものなのかもしれない。

この志賀海神社では綿津見神と八大龍王との混在の痕跡は見当たらなかったが
山口県山陽小野田市大字西高泊1759 旧長門国 厚狭郡の高泊神社や
伊勢・二見浦の二見興玉(フタミオキタマ)神社の境内社の竜宮社など各地で混同されている。



八王社の祭神とは?

八王社と云う社が熊本では八大龍王を祀る社であることは間違いないことに思えるが、
八王子といえばほぼ素盞鳴尊か牛頭天王に繋がるようである。
天照大神と素盞鳴尊の誓約から生まれた五男三女神は、
天忍穂耳命、天穂日命、天津日子根命、活津日子根命、熊野久須毘命
興津嶋姫、湍津嶋姫、市杵嶋姫
の八柱で八王子と呼ばれる。

大将軍八神は、大将軍、大歳神、大将軍、大陰神、歳刑神、歳破神、歳殺神、黄幡神、豹尾神
八つの星神で方位神として八神宮や大将軍神社に祭られるが、
牛頭天王と結び付けられその後に素盞鳴尊の八王子ともされる。

又素盞鳴尊の八つの子として京都八坂神社の西御座には、
八島篠見神、五十猛神、大屋比売神、抓津比売神、大年神、宇迦之御魂神、大屋毘古神、須勢理毘売命
が祭られている。

上記が八王社の祭神の代替の可能性といえよう。




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